2023年度(後期)計算科学研究センター施設利用の公募について
公募区分: 施設利用(B)
公募開始日: 2023年6月1日(木)
公募締切日: 2023年6月30日(金) 24:00
利用期間:2023年10月2日(月)~2024年4月1日(月) 9:00
※通年募集の施設利用(A)や所内利用についてはこちらのページを参照ください

当センターを利用した研究成果の紹介

発光性金属ナノクラスターは,配位子構造や金属の種類・核数や配列により,クラスター構造に特異な物性が発現することが期待される。本研究では,含窒素複素環状カルベン(NHC)配位子を用いた炭素中心金銀(CAu6Ag2)クラスターを設計・合成し,このクラスターが溶液中で強いリン光を発光することを見出し,NHC配位子がリン光発光に寄与することを理論計算により明らかにした。スピン軌道相互作用を含む解析によって発光速度定数を算出し,最小エネルギー交差点へのエネルギー障壁で量子収率を議論した。さらに,この発光寿命の長いリン光性金銀クラスターを細胞イメージングに用いたところ,細胞への取込みの経路や特定の小器官に選択的に局在することが明らかになり,従来のホスフィン配位子の非選択的な取込みとは異なる優れた機能が確認された。
Z. Lei, M. Endo, H. Ube, T. Shiraogawa, P. Zhao, K. Nagata, X.-L. Pei, T. Eguchi, T. Kamachi, M. Ehara, T. Ozawa, M. Shionoya Nature Commun. 13, 4288-1-9 (2022).

新型コロナウイルスの遺伝子を複製するタンパク質(RNA依存性RNAポリメラーゼ)にレムデシビルが取り込まれる過程を分子動力学シミュレーションで解明しました。レムデシビルにはマイナス電荷を持つリン酸基があり、RNAポリメラーゼの結合サイトにはMg2+イオンがあります。さらにRNAポリメラーゼにはプラス電荷を持つアミノ酸であるリジン残基が結合サイトに向かって一列に並んでいます。リジン残基がレムデシビルのリン酸基を引きよせ、それを隣のリジン残基に受け渡すことを繰り返しながら、バケツリレーのように薬剤を結合サイトに運んでいることが明らかになりました。

S. Tanimoto, S. G. Itoh, and H. Okumura: Biophys. J. (2021), DOI: 10.1016/j.bpj.2021.07.026, “Bucket brigade” using lysine residues in RNA-dependent RNA polymerase of SARS-CoV-2

機能ダイナミクスは、生体分子マシンが働く仕組みを理解する上で必要不可欠である。例えば、膜輸送タンパク質(トランスポーター)は、内向き開構造と外向き開構造の間をいったりきたりすることで、膜をこえた基質輸送を行っている。このような生体分子マシンの全原子モデルでのシミュレーション系は数十万原子数にも及び、機能発現にかかる時間ミリ秒スケールの直接的なシミュレーションは困難であるが、ダイナミクスの促進や遷移ダイナミクスを集中的にサンプリングする手法によって、機能発現の瞬間の分子メカニズムを解明している。
K. Okazaki, D. Wöhlert, J. Warnau, H. Jung, Ö. Yildiz, W. Kühlbrandt and G. Hummer, Nat. Commun. 10, 1742 (2019)

化学反応は固有反応座標(IRC)に沿って起こるのか? 金5量体に対しab initio MD計算による古典軌道をグローバル反応経路地図上にマッピングして動的経路を解析し、反応経路跳躍の概念を提案。

T. Tsutsumi, Y. Harabuchi, Y. Ono, S. Maeda, and T. Taketsugu, Phys. Chem. Chem. Phys., 20, 1364 (2018).

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新着情報

2022-08-01 8/9(火) 9:00-17:00 NOUS 定期メンテナンス

8/9(火) 9:00-17:00 の間、利用申請システム NOUS が定期メンテナンスのために停止します。
なお、作業の進捗状況により、サービス再開の時刻が早まる可能性があります。

2022-07-11 7/25(月) 12:00-13:00 の間に 5 分程度のネットワーク停止

ネットワーク保守作業のために 7/25(月) 12:00-13:00 の間に 5 分程度、ネットワークが停止します。
投入済、実行中のジョブについては作業の影響を受けませんが、
このウェブサイトの閲覧やフロントエンドノードへの接続は一時的にできなくなります。
データのバックアップを計画されている場合も、この時間を避けるようお願いいたします。

2022-07-05 「第16回分子シミュレーションスクール」

本年も、9月5日(月)~9月7日(水)の3日間の日程で、「第16回分子シミュレーションスクール-基礎から応用まで-」を、分子科学研究所、計算物質科学人材育成コンソーシアム(分子科学)、分子シミュレーション学会の主催にて開催いたします。今年度は、2年ぶりに岡崎コンファレンスセンターでの開催としますが、新型コロナウィルス感染拡大の影響と過去2年におけるオンラインによる参加者の増加を考慮して、オンラインとのハイブリッド開催とします。

毎回好評を博している当スクールからは、大学や企業において分子シミュレーションを専門とされる研究者の方々を多数輩出しています。今年度も例年にも増して気鋭の先生方によります基礎から最新のトピックスに至る講義が目白押しです。講義内容は学部卒業程度の知識があれば理解できるようになっており、特にシミュレーションの経験や専門知識は前提としません。これから分子シミュレーションを始めようとしておられる学部学生や大学院生、または実験家や企業の研究者など、計算科学に興味がある方々のご参加をお待ちしております。お誘いあわせの上、ふるってご参加ください。

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