新型コロナウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼにおけるレムデシビルのバケツリレー

新型コロナウイルスの遺伝子を複製するタンパク質(RNA依存性RNAポリメラーゼ)にレムデシビルが取り込まれる過程を分子動力学シミュレーションで解明しました。レムデシビルにはマイナス電荷を持つリン酸基があり、RNAポリメラーゼの結合サイトにはMg2+イオンがあります。さらにRNAポリメラーゼにはプラス電荷を持つアミノ酸であるリジン残基が結合サイトに向かって一列に並んでいます。リジン残基がレムデシビルのリン酸基を引きよせ、それを隣のリジン残基に受け渡すことを繰り返しながら、バケツリレーのように薬剤を結合サイトに運んでいることが明らかになりました。

S. Tanimoto, S. G. Itoh, and H. Okumura: Biophys. J. (2021), DOI: 10.1016/j.bpj.2021.07.026, “Bucket brigade” using lysine residues in RNA-dependent RNA polymerase of SARS-CoV-2