多様なC–X結合形成に有効な有機光触媒『ヘテロ[8]サーキュレン』の電気化学的カスケード合成

これまでに報告されているヘテロ[8]サーキュレンは、大きく3種類に分類され、いずれも対称分子でした。本研究では、市販原料を用いた電気化学的ワンポット合成により、6つの新規結合を同時に構築し、5つの六員環と3つの五員環から成る新規ジオキサアザ[8]サーキュレンの合成に成功しました。反応基質の酸化電位差に着目し、分子間および分子内カップリングを選択的に制御することで、最大83%の収率と幅広い官能基許容性を実現しました。さらに、X線結晶構造解析、分光学的解析、DFT計算により特性を詳細に解明した結果、365 nm LED照射下において遷移金属を用いない光触媒的クロスカップリング反応が進行することを見出し、最高97%の収率で目的生成物を得ることに成功しました。