電子状態インフォマティクスによる一重項分裂を利用した高効率太陽電池材料の迅速探索

化石燃料から環境に優しい再生可能なエネルギー源への移行は、今日の社会と科学分野の中心的な課題の一つである。世界のエネルギー研究において、持続可能なエネルギー生産は記録的な伸びを示しているが、更なる改善が望まれている。太陽エネルギーの利用は、近い将来有望な解決案の一つになると考えられている。

本研究では、半経験的分子軌道法、時間依存密度汎関数法、機械学習を組み合わせた「電子構造インフォマティクス」のアプローチにより、天然色素として有名なインジゴをベースにした400万種以上の誘導体から「一重項分裂」による多重励起子生成で高効率の太陽電池材料となり得る分子を探索した。得られた有望候補分子とそうでない分子の化学構造をランダムフォレスト分類することで一重項分裂を効果的に示す化学構造の規則を見出し、対称的で高い合成可能性を持つ候補物質を提案した。

Weber F., Mori H., npj Comput. Mater., 8, 176 (2022).